概要版より





第1回調査(1999年6〜8月)高齢者の生活実態調査
第2回調査(2000年1〜4月)申請からケアプランまでの実態調査

第1回・2回調査 概要 
この報告書は、第1回調査「高齢者の生活及び介護の実態調査」(1999年6〜8月)と、第2回調査「介護保険の申請・認定・介護サービス計画作成などに関する実態調査」(2000年1〜4月)のまとめです。

調査方法・期間

1.対象者は、都内に住むこれまでに何らかの福祉サービスを利用したことがある40歳以上の人500人。
2.期間は介護保険が始まる前の年の1999年から2003年までの5年間。
3.1年間に2回、同じ人に調査票を渡して、訪問の上回収する方法で、5年間に10回の追跡調査を実施する。


調査対象者


●調査に協力してくださった対象者の方は全部で758人でした。(在宅715人、施設43人)。しかし、2回目の調査では591人からの回答をいただきました。(在宅538人、施設53人)

●対象者は男性1に対して女性は2.8倍でした。
●世帯の状況は278人が64歳以下の人との同居でした。おつれあいとの2人暮らしは99人、1人住まいは92人でした

生活の自立度と要介護認定の結果

●生活全体の状況は1人で外出できるなど自立した生活ができる人は225人。介助があれば外出できる等支援を必要とする人は260人。介助があれば車椅子に移って生活できるなど要介護の人が114人。寝返りを打てないなど寝たきりの人が46人でした。

●要介護認定の結果は自立と判定された人は14人だったが、申請手続きをしなかった人が90人なので、合せて104人ほどの人が1人で自立した生活ができる人と、思われます。
もっとも多いのが要介護1で91人、次が要介護2で80人。寝たきりの状態の人は76人で3番目に多く、続いて要介護4が69人、要介護3が61人、自立が14人、要支援が31人でした。
●認定の結果については、本人の身体状況に照らして妥当と思った人は229人で、おおむね納得しています。実態より軽いと思った人は63人。実態より重いと思った人は17人でした。

痴呆のランクと要介護度

医師から痴呆と診断されている人は101人でした。最も多数がW(日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする)で要介護度は4と5の人が多く見られます。次に多い症状がVa(日中を中心として、日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが時々見られ、介護を必要とする)で、Ub(家庭内でも日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても誰かが注意していれば自立できる)と続いています。要介護度でみると様々で、痴呆の度合と要介護度との関係は必ずしも一致していないことがわかります。
●すでに指摘されていますが要介護度に痴呆を加えた評価手法の開発が必要です。
●要介護度の高い寝たきりの人より、要介護度は低くても目が離せない痴呆の症状に、在宅の介護サービスの組み合わせを工夫することが大切です。ここがケアマネジャーの腕の見せ所になります。
●介護保険制度では、在宅の利用施設として痴呆対応型共同生活介護(痴呆性老人グループホーム)があるがまだまだ施設数が足りない状況です。

ケアプランの作成

●ケアプランを作成した人は365人でした。
作成を依頼した所は、民間の居宅支援事業者が最も多く130人、次が自治体の運営する居宅支援事業者で83人、次がNPOの居宅支援事業者32人の順でした。社会福祉協議会は14人と少数でした。作成しなかった人は32人ありました。

ケアプランを作成したか

●ケアプランを作成するときに大切にした考え方では、いままでと同じ生活が送れるようにと考えた人が最も多く267人でした。次に多い考え方が家族介護の負担を軽減したいで149人でした。本人ができるだけ自立して生活できるようにと考えた人91人、専門的な介護を受けたいは、26人でした。介護保険が始まる前に多くの人が不安を持った介護サービスにかかる費用に関わって、経済的な負担を軽減したいと言う考え方を持った人は30人で、割合としては少数でした。

ケアプランを作成するときに大切にしたい考え方
サービス担当者会議

●ご本人の毎日の生活を支援するサービスのあり方を検討し、担当者が一緒に調整をし合う場として、介護保険制度ではサービス担当者会議を開くことを位置付けています。しかし、4月から始まる介護サービスは、ケアプランの遅れによって、開かれない例が多く見られました。
●サービスの調整は、ケアマネジャーとのやり取りに終始し、電話で済まされる場合もありました。
●介護保険は利用者が、サービスを選択知る権利を持っているので、ケアプランもサービス事業者も複数の中から選び取って組み立てることが可能な制度です。しかし、実際には、一つのプラン、一つのサービスを組み上げるだけで精一杯の状況がうかがえました。
●介護保険は契約によってサービスを受けるしくみになっています。契約のとき、事業者から重要事項の説明があります。サービスに対する改善の方法について、個人情報の守秘義務について、クーリングオフ(解約)の方法についてなどは130人ほどの人がそれぞれ説明を受けていました。事故が起きた時の保障についても96人の人が説明されていました。
●契約者は本人が152人で、家族が151人とほとんど同じ人数でした。しかし、説明がどうしても長くなるので、どこに印を押せば良いのという人もあり、契約に慣れていない利用者の一面がありました。利用者としての認識を持つ必要を改めて感じます。

サービス利用は低く抑えられている
●この調査では介護保険以前のサービスに支払った自己負担の金額、介護保険外で自費で支払った費用の3種類について調査しました。
2000年1〜4月はケアプランができている人や、まだできていない人、また、プランはできていても契約が終わっていない人、契約が終わっていても金額が不明な人など、混乱状況にありました。このデータは記入のあった金額を合算し、記入人数で求めた平均金額になっています。
●介護保険では要介護度ごとに受けられるサービスの上限金額を決めています。ケアプランの金額は、限度額いっぱいサービスを利用する人が49人、限度額を上回ってそれ以上のサービスを利用する人は19人で少数です。限度額以下でサービスを組み立てた人は291人と最も多くなりました。

主な介護者は誰か
●この調査の対象者の男女比は1対2.8でした。
しかし主な介護者は男性45人(息子44人、娘の夫1人)に対して、女性255人(娘125人、息子の妻130人)で介護者の男女比は1対5.6で、介護者の多くが女性であることが改めてわかりました。さらに、夫婦のみの世帯126のうち配偶者が介護している人は104人で男性対象者の配偶者(女性)は69人になります。
●第1回調査と第2回の間に介護者に起こった身体的変化は、配偶者の病気や入院をあげた人が32人ありました。また、嫁・妻・娘・息子などの主たる介護者26人が介護の負担から腰痛やストレス、疲労蓄積などを挙げています。
これは、主婦による介護や老老介護などの家族介護が限界に来ていることを物語っています。
●介護保険は、介護の社会化を目指して導入されましたが、まだまだ介護サービスの実態は家族をあてにした利用量にとどまっています。



報告書1

調査の報告書のご案内
上記、調査概要版は、介護保険制度検証のための基礎調査」報告書1
(A4版.136頁・定価2000円を要約したものです。

2回ごとの調査報告を冊子化し、10回の調査をまとめた、報告書1、2、3、4、5と5回の調査を分析した最終報告書がございます。
報告書1冊2000円のお申し込みは、市民シンクタンクひと・まち社電話・FAXで03-3204-4342までお願いいたします。
送料実費負担でお送りしますので、到着後、郵便局にお振込みください。

    

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